代表よりご挨拶


 私どもは、本学のリサーチコア「身体運動の科学を通しての社会貢献;研究代表者(熊谷秋三)」 に関する研究を展開しています。 この課題では、疾病(生活習慣病・要介護状態)予防や改善,および生涯にわたる心身の生活機能の維持や調節にとって必須である身体運動の役割やその効果に関して、 基礎的(分子メカニズム含む)および介入研究を含む疫学的観点からの研究を展開すると共に、身体活動増強および運動介入による健康支援に関する運動プログラムの開発・評価が実施できる研究基盤を構築することで、 その継続的な研究環境の維持のための人材育成システム(身体運動科学専攻の設置)を構築することを目的としています。身体活動(運動)の科学(疫学、生理学、心理学、社会学など)は体育・スポーツ科学の領域ではメジャーな学問であり、 その健康利益に関する証拠は数多く存在しております。一方、身体不活動の科学に関しては、その証拠に乏しく,学問的展開が遅れています。 近年、運動不足のみならず身体活動そのものの低下(=身体不活動,座位行動)に伴う健康の不利益とその部分的分子メカニズムに関してNature(454:463-,2008)に報告されました。 しかしながら、身体不活動の定義や客観的な測定法の不備、それらに基づく疫学研究の成果不足に加え、その分子メカニズムに関する研究など、その研究環境は未整備のままであります。 さらに、現時点で平均的な体力保有者群に身体的不活動が長期に継続した場合、その後に健康不利益が生じるとの研究仮説(Diabetes,2007)が提唱されていますが、その疫学的および機構的解明も遅れています。 そこで本研究では、リサーチコアのメンバーを中心として国内外の研究者が結集して、身体活動と身体不活動の科学の構築に向け主に疫学・分子生物学の観点からの検討を行うものであります。 さらに、本研究の継承・発展を目的として、大学院博士課程学生やポスドクを対象とした人材育成のための教育プログラムも実施するものであります。


九州大学教授 熊谷秋三

プロジェクト概要

組織体制

人材育成事業のご案内