プロジェクトの目的
今日の社会において、多くの疾患が運動を含めた種々の身体活動の不足や座位的な生活習慣(=身体不活動)から 誘発されるとする証拠が蓄積されつつあるが、その証拠水準は高くなく、そのメカニズムに関しても不明な点が少なくない。欧米の研究では、座位時間やTV視聴時間等で評価された身体不活動量は、身体活動量とは独立して、 死亡率、肥満・2型糖尿病発症などと関連する事が報告されているものの、身体不活動量の客観的評価に基づく疫学研究は行われていない。 さらに現在、普通の身体活動量や体力水準を維持している集団が、長期に身体的不活動が継続した場合の健康不利益が生じるとする 研究仮説が提唱されているが、その疫学的解明も実施されていない。 したがって、疫学研究の成果としての身体活動の健康利益(Health benefit)および身体不活動の健康不利益(Health un-benefit)の 背景にある分子メカニズムの解明も遅れている。 本プロジェクトでは身体活動の科学に加え、学問の展開が未開発の、健康の不利益としての「身体不活動の科学」を 構築するために必須となる運動疫学研究と運動分子生物学研究の研究成果および人材育成を通して、その情報を世界へと発信するものである。