「コロナストレス」や「コロナうつ」という言葉も聞かれるように、現在のコロナ禍での生活は、漠然とした緊張感や不安感を感じている状況とも言えます。以下に、海外のCOVID-19とメンタルヘルスについての調査研究の一部を紹介します。
ソーシャルサポートがある人は、不安と戦える !
約24.9%の学生が、軽度~重度の不安感を感じているという結果でした。また、都会に住んでいる、家族の収入が安定している、家族と同居している人の方が、そうでない人よりも不安感が低い、ソーシャルサポートが多い人ほど不安感は低い、ということも明らかになっています。
ソーシャルサポートとは・・・
家族や友人、隣人など、ある個人を取り巻く人々からの有形・無形の援助のことを言います2)。ソーシャルサポートは、健康行動の維持やストレッサーの影響を緩和する働きがあると言われており、その内容によって以下の4つに分けられます3)。あまり人と会えない今だからこそ、人とのつながりを意識してみてください。ふだん会えない友達や、離れて暮らす家族に連絡をする、大学のオンラインの交流会などに参加して話をするのもよいかもしれません。また、経済的な心配がある場合には、一人で悩まずに家族や学内の相談窓口に相談して、一緒に考えてもらうようにしましょう。
学生さんにはとくに厳しい環境…安心できる時間と情報を得よう !
一般成人1642名のうち、66.7%の人にQOL( Quality(of(Life(:生活の質)の変化が見られていました。特に、若い世代 18-29歳)、学生、無職、その国に来て1年目、精神的な不調から病院を受診したことがある、女性、という属性の人が、そうでない人よりも、不安や抑うつの得点が高いという結果が報告されています。さらに、COVID-19の感染予防を遵守する人は、抑うつ症状は低いものの、不安症状は高くなりやすいことも明らかになっています。
九大生のアンケート結果から・・・
九大生6000名近くが回答した「学生生活に関するアンケート(春学期)」5)では、7割以上の人が規則正しい生活、週に1度の運動、友人とのコミュニケーションなどを通じて、健康を維持・向上しようとしている姿が浮かび上がりました。ただ、今年は例年に比べて、睡眠障害やイライラを訴える人がやや増えており、コロナ禍でのストレスの存在が伺える結果がみられています。
生活基盤や社会的立場が確立していない学生の場合、先の見通しが立ちにくく、就職も含めて不安になりやすいことが考えられます。同じ境遇の友人や、大学内外の相談機関などを通じて、大学生活や就活に関する正しい情報を得ることも重要です。COVID-19の感染予防では一般的に行うべき行動 マスク、手洗い、3密を避ける)を行い、過度に恐れず、安心できる時間を持つようにしましょう。
自分なりのコーピング(対処行動)をみつけよう !専門家への相談も良し。
2020年4月にニューヨークの医療従事者を対象に行われた調査では、57%の人に急性ストレス症状、48%の人に抑うつ症状がみられていましたが、61%の人で“意味や目的の感覚” sense(of(meaning/purpose)が増加していました。また、80%の人がストレスマネジメントとして何らかのコーピングを行っており、その中で身体的な活動/エクササイズ 59%)が最も多く支持されており、次いで、人と話す( Talk(therapy)( 26%)、ヨガ、瞑想などもなされているという結果でした。その他、51%の人が何らかの専門的サポートに関心があると答えており、オンライン上で自らカウンセリングを受けること( 33%)への関心が最も高いという結果でした。
今の状況で自分ができることを見出したり、自分のやっていることに意味を見出すこと 目的を持つ)が、モチベーションの維持につながることがあります。また、コーピングとして、身体を動かしたり、人と話したり、瞑想 目を閉じてゆっくり呼吸に意識を向ける)ことも役立つと思われます。
ストレスを強く感じる場合には、専門家のサポートも利用してみましょう。現在、キャンパスライフ・健康支援センター学生相談室では、電話相談を中心としたカウンセリングを行っています。
<参考文献>
文責:常勤カウンセラー 松下
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